排尿痛があり泌尿器科を受診し、膀胱炎と診断されてクラビット錠(一般名 ..
腎盂腎炎は、膀胱炎の症状に加え上部尿路の局所症状として側腹部痛や感染をきたしている側の肋骨・脊椎角部叩打痛などや、全身症状としての発熱が加わります。時に、悪心、嘔吐などの消化器症状も加わります。起因菌の種類は膀胱炎と同様グラム陰性菌が多くなっています。診断も上記症状に加え検尿所見で白血球の増多が確認できます。全身症状が加わるので採血でも白血球上昇、CRP高値、赤沈亢進などが確認できます。症状の程度によっては外来加療も可能な例もありますが、入院が必要となる場合も多くあります。入院加療の場合、抗生物質の点滴静脈投与による治療となります。治療には①セフェム系抗生物質、②点滴静注キノロン系抗生物質、③βラクタマーゼ阻害剤配合ペニシリン系抗生物質などが考えられます。Empirical Therapyとして開始し、3日を目安に改善が無い場合、尿培養・感受性試験を確認し切り替えます。通常14日間の治療を要します。次に述べる複雑性尿路感染としての腎盂腎炎の場合、非常に重症化する例も見られ、集学的治療を要する場合もあり注意が必要です。
前項で述べた膀胱炎、腎盂腎炎以外の泌尿器感染症として男性における前立腺炎・精巣上体炎があります。前立腺・精巣上体は精液に関わっている臓器で、性器感染症に分類します。
敗血症、深在性皮膚感染症、慢性膿皮症、外傷・熱傷及び手術創等の二次感染、扁桃炎、急性気管支炎、肺炎、慢性呼吸器病変の二次感染、膀胱炎、腎盂腎炎、腹膜炎、中耳炎
単純な膀胱炎から、より複雑な尿路感染症まで、幅広い症状に対して効果を発揮し ..
ここで述べる前立腺炎とは急性細菌性前立腺炎です。NIHの分類ではI型前立腺炎とされています。症状は膀胱炎様症状つまり排尿時痛・頻尿などに加え前立腺の炎症による腫大から排尿障害が加わります。場合によっては尿閉となることもあります。また、会陰部不快感、会陰部痛なども前立腺炎の症状として訴える事があります。また、全身症状として発熱を伴う事が多いです。診断はこれらの自覚症状に加え、検尿所見での白血球増加、そして直腸診上前立腺の熱感のある腫脹、圧痛があります。直腸診による前立腺の触診は菌血症をきたす場合があるので注意が必要です。治療としては前立腺に移行性の良い抗生剤が有効で①キノロン、②ST合剤などがよく用いられます。尿閉の場合、尿道カテーテル留置よりは超音波ガイド下恥骨上穿刺膀胱瘻が理想的です。
性感染症の一つとして受診してくる場合がほとんどで、若い男性のクラミジアや淋菌による感染症が中心です。陰嚢部の腫脹、疼痛を訴え、尿道炎、膀胱炎の症状を伴うこともあります。また発熱を伴う場合もあります。触診で、精巣上体部の硬結や圧痛を認めます。これらの症状、所見に加え、膿尿や採血での白血球増多などの炎症所見を認めます。時に精巣腫瘍を心配して受診される方もいますが、泌尿器科専門医を受診して診察してもらうことをおすすめします。陰嚢の腫脹に関して言えば精巣上体炎、精巣腫瘍のほか、精索捻転、陰嚢水腫、鼠径ヘルニアなど重要な鑑別診断が存在し、注意が必要です。治療はクラミジアや淋菌を念頭に入れて治療するので①セフトリアキソン+アジスロマイシン、②キノロンなどの選択肢が考えられますが、現在、淋菌はキノロン耐性株が非常に多いので注意が必要です。
泌尿器科で扱うことの多い疾患の中に性感染症が含まれます。性感染症とは性行為によって伝播する感染症の事を言います。以前は梅毒や淋病など、性器に症状が出現する疾患のことを指していたために泌尿器科で扱う事が多くなっていましたのですが、広義の性感染症を起こす原因微生物は実に多彩です。性感染症をきたす主な病原微生物として、梅毒スピロヘータ、淋菌、クラミジア等の細菌類に加え、単純ヘルペスウイルス、ヒトパピローマウイルス、HIV、A型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、サイトメガロウイルス、EBウイルス、HTLV-1のようなウイルス類、トリコモナス、アメーバ赤痢、ケジラミ、疥癬のような原虫・寄生虫まで含まれます。当然のことながら症状も多彩で、尿道炎、精巣上体炎、子宮頸管炎のほか、咽頭炎、結膜炎、直腸炎なども入ります。尿道炎の症状や性器に潰瘍やいぼを作ったりする感染症は自分でも見つけやすいと思われますが、HIV感染症や肝炎ウイルスの感染症などは他の病原体による感染症を合併していなければ性器に変化をきたすことはありません。泌尿器科でよく見る疾患は次の通りです。
クラミジア感染症の治療薬には、クラリスロマイシン、ミノサイクリン、レボフロキサシン、トスフロキサシンなどがありますが、二週間の投与で治癒します。このような治療にもかかわらず「前立腺炎が治らないために同じ薬剤をもっと長期間服用している・・・、なぜ治らないのでしょうか?」という質問がたくさんありました。このような場合、クラミジア感染を契機にクラミジア以外の病原微生物の感染が前立腺内で起こっている可能性があります。症状の持続には前立腺組織の一時的な変化も考慮に入れなければなりません。従って同じ薬剤を二週間以上にわたって内服する意味はなくなるわけです。他の治療法を考えなければなりません。正解は×です。(例外はあるかもしれませんが、私は経験しておりません。)
ご回答よろしくお願い致します。 先週末から膀胱炎の症状みたいな…
膀胱炎が再発を繰り返し、半年に数回もおこるようだと慢性化が疑われます。
原因疾患(膀胱癌、結石、子宮癌や直腸癌の膀胱浸潤など)を検査する必要があります。
治療としては抗生剤の内服が必要ですが、抗生剤が効きにくい(耐性菌)が発生している可能性あり専門医で診察を受けましょう。
ニューキノロン系抗菌薬と制酸薬の同時服用はOK? 疾患名:膀胱炎
下腹部痛、頻尿、残尿感、排尿時痛などの症状あり
急性膀胱炎と違い尿に細菌を認めない膀胱のアレルギー性病変と言われています。
治療は水圧拡張、抗アレルギー薬の投与、膀胱内注入療法(キシロカイン、DMSO)などを行います。
膀胱炎や百日咳、とびひにかかったときなどに飲むのも、種類は異なり ..
膀胱炎の予防という点から考えると水分摂取は意味のあることです。しかし、水分摂取を増やしたからといって「再発性膀胱炎」を予防できるというものでもないようです。水分摂取の意味についてはに記載しています。
膀胱炎を起こさない女性は、特に水分を多く取っているということもなく、普通の日常生活を送っています。このように正常の場合は、膀胱炎症状を繰り返すということはあり得ないので、原因は他にあると考えなければなりません。
細菌尿の原因として、で、1)膀胱内異物、2)感染性尿路結石、3)尿道憩室、感染性の傍尿道腺、4)左右何れかの感染性の萎縮腎、5)膀胱腟瘻などについて触れました。
しかし、再発性の膀胱炎の原因としてはこのようなことが原因になっていることはまれで、ほとんどは膀胱から尿道にかけての器質的あるいは機能的な問題に限定できるようです。原因治療が重要になるわけです。
先週末から膀胱炎の症状みたいな… 陰部のヒリヒリやトイレ後にしみる…(2023/12/20)
再発性の膀胱炎になったとき、どのような抗菌剤を用いたらよいのかという点についても、「水分摂取」と同じレベルの考え方にすぎません。現在感染している細菌に有効であればよいわけで、数日間の内服で効果がないようであれば、その薬は効果がないのだとあきらめることの方がが大切です。
皮ふ感染症、咽頭・喉頭炎、扁桃炎・急性気管支炎、膀胱炎、中耳炎、淋病や ..
泌尿器科に受診するような梅毒は第一期梅毒です。初期硬結として局所に硬結を作り、やがて潰瘍を形成します。通常痛みが無く、放置していても2~3週間で消失します。この段階で放置すると第二期梅毒となるまで症状が出てきません。第二期梅毒では血行性にトレポネーマが全身性に播種され、多彩な発疹が全身に出現します。梅毒感染の場合HIV感染も併発していることが多く注意が必要です。診断には梅毒血清反応としてカルジオリピンを抗原としたRPRに加えて、TPHA法、またはFTA-ABS法を行います。治療にはペニシリン製剤がよく効きます。ABPCやAMPCの経口剤、ミノサイクリンも使用することがあります。通常2~4週間の投与が必要とされます。TPHA等は陰性化しないことがほとんどですが、カルジオリピンを抗原とした検査による抗体価が治療効果を反映しますので8倍以下になるまで治療を継続します。
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前立腺炎の中でも慢性前立腺炎は会陰部や腰部、下肢などの鈍痛といった不定愁訴が強いので患者さんは大変です。特に椅子に腰掛けて仕事をしなければならない人にとっては大きな問題です。
成人男性の70%位の方は大きさや数はともかく前立腺結石を持っているようです。前立腺結石が感染していない場合はほとんど症状がないため問題になることはありません。また症状のない方は自分の前立腺に結石があるとは知らないでいる方も多いと思います。症状がなければそれでよいのですが。慢性前立腺炎の方では前立腺分泌液の炎症所見の他に多数の方でこの感染性と考えられる結石を認めます。 通常の検尿では炎症所見は認めません。前立腺分泌液を採取して初めてこの診断が出来るわけです。
前立腺組織の中に、効率よく薬剤を到達させるためにはいろんな工夫をしなければなりません。膀胱炎などのように、内服あるいは注射した薬剤が尿中に高濃度で排泄される場合と同じに考えるわけには行きません。
前立腺炎の中のプロスタトディニアでは考え方が異なりますが、この問題の正解は○にしました。
[PDF] マクロライド系抗生物質製剤 日本薬局方 クラリスロマイシン錠
尿路性器結核症は、尿路系の上部からみて腎結核、尿管結核、膀胱結核、前立腺結核、精巣上体(副睾丸)結核が主なものです。症状としては膀胱結核の症状が主なものとなります。
症状は通常の感染症と同じで、尿の混濁をはじめとすて、排尿痛、頻尿、残尿感などがあります。注意しなければならないことは、頻尿などは通常用いられる頻尿改善薬で様子を見られる危険性があることです。
結核が精嚢や精管に及ぶと精管などの閉塞症状となって、男性不妊症に移行してしまうこともあります。
治療はアジスロマイシン、クラリスロマイシン、ミノサイクリン、レボフロキサシンな どの内服を行います。
外来で最もよく見る疾患です。若い女性に多く、起因菌の大多数は大腸菌です。その他、ブドウ球菌や、Proteus、Klebsiellaなども起因菌として分離される事があります。典型的な症状は、排尿時痛、頻尿・残尿感・血尿等です。これらの症状のいくつかと検尿所見での白血球増多を認めれば診断は容易です。膀胱炎のような下部尿路の感染症では発熱を伴うことはありません。治療には①キノロン系抗生剤、②ペニシリン・セフェム系抗生剤、③ST合剤、④ホスホマイシンのいずれかを用います。日本感染症学会・日本化学療法学会の感染症治療ガイドでは①、②が第一、第二選択薬とされ、米国のサンフォードガイドでは③が第一選択、①、④が第二選択薬です。重要なのは尿路分離菌のLocal Dataで、地域における各抗生物質に対する耐性率が20%以上であった場合その抗生剤は第一選択としては使いにくくなります。
[PDF] 効能・効果,用法・用量,使用上の注意(案)及びその設定根拠
敗血症、深在性皮膚感染症、慢性膿皮症、外傷・熱傷及び手術創等の二次感染、扁桃炎、急性気管支炎、肺炎、慢性呼吸器病変の二次感染、膀胱炎、腎盂腎炎、腹膜炎、中耳炎
[PDF] 効能・効果、用法・用量及び使用上の注意改訂のお知らせ
膀胱炎症状を繰り返す方には何らかの原因があります。検尿で細菌や白血球を認めない場合もあります。これにも原因は必ずあります。
今回の問題は尿中に細菌を含んでいる場合(細菌尿)を取り上げています。
価)、クラリスロマイシンとして1回200mg(力価)及びプロト.
排尿した後も残尿として膀胱内に尿が残る場合は一番わかりやすい疾患です。その他にも次のような疾患が考えられます。
★膀胱内異物
★感染性尿路結石
★慢性細菌性前立腺炎
★尿道憩室、感染性の傍尿道腺
★左右何れかの感染性の萎縮腎
★膀胱腟瘻
★左右何れかの海綿腎
★膀胱周囲に出来た膿瘍との膀胱瘻
その他にも腎摘出後に残された尿管の問題や、重複尿管で一方が膀胱外に異所開口している場合などです。膀胱内異物のなかにはマスターベーション目的で使用したものの一部が気付かないうちに膀胱内に入ってしまっていることもあります。