慢性腎臓病の治療薬フォシーガについて考える【腎臓内科医が解説】
“DAPA Care”は、フォシーガの心血管、腎、臓器保護作用を評価する一連の臨床プログラムです。終了済みおよび進行中の試験を含め35,000例以上の患者さんを対象とする35件以上の第IIb/III相試験から構成されており、フォシーガはこれまでに250万患者年以上に処方されています。またフォシーガは、現在、2型糖尿病合併の有無に関わらず、駆出率が保たれた心不全患者さんを対象として有効性を評価するDELIVER第Ⅲ相試験および急性心筋梗塞(MI)または心臓発作発症後の非2型糖尿病患者さんを対象とした第Ⅲ相DAPA-MI試験が進行中です。DAPA-MI試験は、この種の試験では初めてとなる適応症追加を目的としたレジストリに基づく無作為化比較対照試験です。
フォシーガは、米国において、成人2型糖尿病における血糖コントロール改善のための食事および運動療法の補助療法として承認され、また、第Ⅲ相 CVアウトカム試験の結果に基づき、標準治療への追加療法で、成人2型糖尿病における心不全入院および心血管死のリスク低下の適応 *を取得しています 12。また、フォシーガは第Ⅲ相 、第Ⅲ相 試験の結果に基づき、2型糖尿病合併の有無に関わらず、 、および として承認された最初のSGLT2阻害剤です 1,13。
フォシーガ(ダパグリフロジン)は、1日1回、経口投与のファーストインクラスの選択的SGLT2阻害剤です。研究により、心腎疾患の予防および進展抑制、ならびに各臓器の保護に対するフォシーガの有効性が示され、心臓、腎臓および膵臓の臓器間の基本的な関連性を示す重要な知見が得られました 1,12,13。これらの臓器の一つでも損傷を受けると、他の臓器の機能低下を引き起こし、全世界で主要な死因となっている2型糖尿病、心不全およびCKDを含む疾患の発症につながります 14-16。
フォシーガ 慢性腎臓病治療薬として米国で承認取得 アストラゼネカ
バイオファーマの一部である循環器・腎・代謝 (CVRM) は、アストラゼネカの主要治療領域の一つであり、当社にとって重要な成長ドライバーです。心臓、腎臓、膵臓などの臓器の基本的な関連性をより明確に解明するサイエンスを追求し、疾患進行の抑制やリスク減少、合併症の抑制による臓器保護と予後の改善をもたらす医薬品のポートフォリオに投資をしています。当社は、世界の何百万人もの患者さんの心血管系の健康と、治療を改善する革新的なサイエンスを継続的に提供し、CVRM疾患の自然経過の緩和もしくは抑制、将来的には臓器の再生と機能の維持の実現を目指しています。
DAPA-CKD試験は、2型糖尿病合併の有無に関わらず、CKDステージの2~4、かつ、アルブミン尿の増加が確認された4,304例を対象に、フォシーガ10mg投与による有効性と安全性をプラセボと比較検討した国際多施設共同無作為化二重盲検第Ⅲ相試験です。フォシーガ は1日1回、ACEiもしくはARBによる治療と併用されました。複合主要評価項目は、腎機能の悪化もしくは死亡(eGFRの50%以上の持続的低下、ESKDへの進行、心血管または腎不全による死亡)リスクでした。副次評価項目は、腎機能の複合評価項目(eGFRの50%以上の持続的低下、ESKDへの進行、腎不全による死亡)、心血管死もしくは心不全による入院、および全死因死亡のいずれかの初発までの期間でした。試験は日本を含む21カ国で実施されました 1。結果は に掲載されました 1。
※フォシーガ(成分名:ダパグリフロジン)は『糖尿病のない慢性腎臓病』だけでなく『慢性心不全』の治療薬としても保険適応がなされています(2020年11月に慢性心不全への保険適応承認)。
CKDではフォシーガに続く新薬候補が複数、国内で開発の最終段階に入っています。SGLT2阻害薬では、ジャディアンスとカナグルがいずれも国内でP3試験を実施中。ジャディアンスはフォシーガと同様に糖尿病の有無を問わず、カナグルは糖尿病性腎症を対象に開発を進めています。田辺三菱は2022年度の承認取得を目指しています。
また、水分量の調節やその他さまざまな作用によって慢性心不全や慢性腎臓病を改善します。
アストラゼネカの子会社であるアストラゼネカ株式会社は、2013年、フォシーガに関して、小野薬品工業株式会社 と日本におけるコ・プロモーション契約を締結しました。本契約に基づき、小野薬品工業株式会社はフォシーガの日本における流通および販売を担い、アストラゼネカ株式会社と2型糖尿病、1型糖尿病および慢性心不全においてコ・プロモーションを実施しています。両社は慢性腎臓病においてもコ・プロモーションを行います。
ダパグリフロジン、日本で初めて慢性腎臓病に承認取得/AZ・小野
フォシーガ は、 および においても2型糖尿病合併の有無に関わらず、CKDの治療薬として承認を取得しており、現在世界のその他の国においても審査が進行中です。フォシーガは2型糖尿病成人患者さんの血糖コントロールを改善する食事および運動療法の補助療法、および1型糖尿病 の成人患者さんに対するインスリンの補助療法を適応としています。また、本剤は2型糖尿病合併の有無に関わらず、左室駆出率が低下した慢性心不全の成人患者さんの治療薬としても承認されています。
慢性腎臓病の適応取得の根拠となったDAPA-CKD試験の成績を動画で紹介いたします。 ..
※ジャディアンス(成分名:エンパグリフロジン)は2型糖尿病だけでなく『慢性心不全』の治療薬としても保険適応があります。
SGLT2阻害剤フォシーガ、慢性腎臓病治療薬開発でFDA ..
第Ⅲ相DAPA-CKD試験においてフォシーガは、CKDステージ2~4、かつ尿中アルブミン排泄の増加を認める患者さんを対象に、アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACEi)もしくはアンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB) との併用で、腎機能の悪化、末期腎不全 への進行、心血管死または腎不全による死亡のいずれかの発生による複合主要評価項目のリスクを、プラセボと比較して、39%低下させました (絶対リスク減少率 [ARR]=5.3%, p 9。フォシーガの安全性と忍容性は、これまでに確認されている安全性プロファイルと一貫していました。
慢性腎臓病の進行を抑えるため食事療法や運動療法などを行っても、腎機能の低下が止められない場合がある。その時は薬での治療が必要となってくる。
※カナグル(成分名:カナグリフロジン)は2型糖尿病だけでなく、『2型糖尿病を合併する慢性腎臓病』へも保険適応があります。
慢性心不全や糖尿病などの治療に用いるフォシーガ錠、「左室駆出率の保たれた慢性 ..
アストラゼネカのバイオファーマ研究開発担当エグゼクティブバイスプレジデントであるMene Pangalosは次のように述べています。「本承認は、慢性腎臓病の患者さんの予後を改善するという当社の目標の実現に向けた重要な一歩となりました。当社は、フォシーガのような新薬によって標準治療を向上させるとともに、時に患者さんを衰弱させ、生命を脅かす慢性腎臓病の予防および早期診断にも取り組んでいます」。
2020 年にフォシーガⓇ錠に慢性心不全に対 しての適応が追加になり,2021 年には慢性 腎臓病(CKD)の適応も追加になりました。
DAPA-CKD試験の日本の治験統括医師であり、日本腎臓学会理事長の柏原直樹先生は次のように述べています。「慢性腎臓病患者さんにおいて、2型糖尿病合併の有無に関わらず、腎不全への移行抑制、心血管イベントおよび全死亡に対するダパグリフロジンの有効性が示されました。慢性腎臓病患者さんを対象としたこれまでの試験の中でも画期的な試験であり、ランドマークとなるものです。今回の承認は日本の多くの慢性腎臓病患者さんにとって大きな希望となります」。
フォシーガとは?(SGLT-2阻害薬:腎臓病の新しい治療薬として)
アストラゼネカは、サイエンス志向のグローバルなバイオ・医薬品企業であり、オンコロジー、希少疾患、および循環器・腎・代謝疾患、呼吸器・免疫疾患からなるバイオファーマにおいて、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。英国ケンブリッジを本拠地として、当社は100カ国以上で事業を展開しており、その革新的な医薬品は世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細については または、ツイッター (英語のみ)をフォローしてご覧ください。
通常、成人にはダパグリフロジンとして10mgを1日1回経口投与す
フォシーガにより腎臓病の治療は格段に進歩したと考えており、当院でも積極的に使用しております。
「フォシーガ」、CKDの適応追加 国内初、糖尿病合併の有無問わず
NOBUヘルシーライフ内科クリニックでは腎臓病の診療を得意分野の一つとしてお
り、SGLT-2阻害薬『フォシーガ』の使用も積極的に行っております。腎臓病の方・腎
臓病ではないのかとご心配な方はいつでもご相談ください。
フォシーガ錠 5 mg、同錠 10 mg_アストラゼネカ株式会社_審査報告書
近年,血糖降下薬として使用されているsodium glucose co-transporter 2 (SGLT2)阻害薬が,2型糖尿病を合併した慢性腎臓病(CKD: chronic kidney disease)のみならず,糖尿病非合併CKDに対しても使用が可能となりました。今後,CKDに対するSGLT2阻害薬の使用が増加することが予想されますが,SGLT2阻害薬投与を推奨するCKD患者像や,投与時のさまざまな注意点などの情報を,専門医のみならず一般医家の先生方にも幅広く共有することは,CKD患者の透析導入を阻止すると同時に,副作用や有害事象の発症を未然に防ぐことにつながると考えます。日本腎臓学会では,SGLT2阻害薬の有効性や安全性を理解した上でCKD患者に対してSGLT2阻害薬が適正に使用されるよう,日本糖尿病学会と連携して"CKD治療におけるSGLT2阻害薬の適正使用に関するrecommendation"を策定しました。日本糖尿病学会が策定している「糖尿病治療におけるSGLT2阻害薬の適正使用に関するrecommendation」も参考にしながら,本recommendationをCKD診療に御活用ください。
今後,新たなエビデンスの創出により改訂が必要となる場合には,随時内容を更新いたします。
併している CKD 患者において,SGLT2 阻害薬は良い適応
アルドステロンの働きを抑えることで降圧効果を発揮するミネラルコルチコイド受容体(MR)拮抗薬も、2つの薬剤が開発を進めています。2019年に高血圧症治療薬として発売された第一三共の「ミネブロ」(エサキセレノン)は、糖尿病性腎症への適応拡大に向けたP3試験を実施中。バイエル薬品の「BAY94-8862」(フィネレノン)は、2型糖尿病を合併するCKDを対象とした2本のP3試験を終え、今年7月に米国で承認を取得しました。今年9月には糖尿病を合併していないCKDでP3試験を始めています。