2023/8/10 マンジャロ・オゼンピックの出荷調整について ..


GLP-1受容体作動薬への需要が世界的に高まっています。海外では2型糖尿病に加えて肥満症での処方が拡大しており、生産が追いついていません。日本国内でも出荷に制限がかかるなど供給に支障をきたしていますが、新薬の登場で市場は拡大を続けています。


日本イーライリリーは、GLP-1受容体作動薬「トルリシティ皮下注0.75mgアテオス」について、2023年3月6日より限定出荷を実施している。これは、GLP-1受容体作動薬の国内外の需要が増加していることや、トルリシティの国内外で需要が増加し続けているのを受けたもの。

それに加え、5月の時点で、限定出荷を開始した以降も、国内におけるトルリシティに対する需要は増加傾向にあり、このような状態が続くことで、今後、在庫消尽が発生する見込みです」としている。

リベルサス&オゼンピック、スーグラ・・・安いクリニックを徹底比較!

そこに割って入ってきたのが、同じセマグルチドを有効成分とする注射剤のオゼンピックと経口剤のリベルサスです。オゼンピックは発売1年後から一気に患者数を増やしましたが、製造委託先のGMP上の問題で22年から出荷を調整・停止し、一時的に低迷。代わって台頭したのがリベルサスで、今年6月には処方患者数トップに躍り出ました。オゼンピックも、薬価未収載だった複数回使用可能な2mg製剤を急遽発売したことで勢いを取り戻したようです。

リベルサスは、ノボが独自技術を使って分子量の大きいGLP-1の経口投与を可能にした製剤です。1日の最初の食事の前に服用し、その後30分は飲食ができないという制約があるものの、1日1回の経口投与という利便性に加え、オゼンピックの出荷調整もあって処方が広がりました。MDVのデータによると、同薬のGLP-1製剤市場での今年8月時点のシェアは処方患者数ベースで39%、金額ベースで24%に上っており、今後さらにその数値を高めていきそうです。

ただ、供給体制はいまだ整わないままです。全6規格のうち高用量の4規格が6月の発売から1カ月で限定出荷を余儀なくされ、先行して4月に発売した低用量の2規格も8月には限定出荷となりました。解除の見通しは現在のところ立っていません。米リリーのダニエル・スコブロンスキー最高科学・医学責任者は先月、AnswersNewsのインタビューで「供給はかなりタイト。工場を新設しているが、製造を開始するまでには時間がかかる」と状況を説明。需要が急速に拡大する中で供給が追いついていないことに理解を求めました。糖尿病治療のゲームチェンジャーとして期待を集めていましたが、出鼻をくじかれた感もあります。

そのトルリシティは長らく市場のトップを走ってきましたが、今年1月から販売が住友ファーマからリリーに移管されました。その後、3月になって世界的な需要動向を要因に限定出荷を開始。投与患者数はこの半年あまりで半減しています。